エギングコラム12

鍵さん

2011年01月17日 14:44

これから始める!エギングエキスパート養成講座 その12


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本日のお題;「匂いのスプレー等の便利グッズには効果が有るか」


エギングコーナーに時折出現する、集魚剤やあわびシートなどの便利グッズの数々!

エギングを初めて間もない頃は、ついついこうしたグッズに手が伸びてしまうものです。

なんだかこれを使うだけで、ものすごく釣れそうな気分になってくるから不思議です。

無味乾燥なエギに果たしてイカが食いついてくるのだろうかと確信が揺らいだ時、匂いのスプレーを

振り掛ければ、樹脂と鉛と布の塊が、餌のような集魚力をもったものに変化するという考えは、それは

魅力的に思えるでは有りませんか。あわびシートを適所に貼れば、怪しげな輝きが難攻不落のイカを

いとも簡単に陥としてしまうように思えるではありませんか。不安だらけのエギングに差してきた

一筋の光明のように思えるものです。


では、果たしてこの便利グッズ、効果の程はどうなのでしょうか。

今日は、「匂いの集魚スプレー」と「あわびシート」について、その影響を考えてみることにしましょう。


匂いの集魚スプレーの効果は?

エビやカニなどの甲殻類の匂いから魚類の香りまで、恐らく人間さんにとっては「ヴっ」となること

間違いなしの強烈な匂いを吹き付けて釣獲アップをうたうグッズです。

しかし、イカが捕食する際にどんな要素が関係してくるのかを知ると、あまり効果がない事が解ります。

以前にもこのコラムで記しましたが、イカは眼が良いです。無脊椎動物の中では最も発達しています。

実験では、イカに、ビンの中に密封したエビやカニを見せるとすごい勢いで襲ってくるそうです。

ビンには封がなされていますから、匂いや味を感じることはできません。当然触ることもできません。

それにもかかわらず、自分の好物だと認識して襲ってくるわけです。

つまり、イカは捕食の際に、殆ど視覚に頼っているのです。

であれば、匂いや味を付けるよりも、エギの姿勢や動き等の視覚的要素を重視し、それらを魅力的なものに

した方が、はるかに効果があるはずです。

加えて、実釣での比較実験でも、スプレーありとなしで釣果に差が出ないことを確認しています。

もし劇的に釣果が変わるのであれば、ほかならぬ筆者自身が使いたいです。

何より、車の中を異臭で満たして、奥様に苦言を呈されることもありません。


あわびシートは効果があるの?

あわびシートについては、しばしば雑誌で取り上げられたり、プロが使用していたりして、その効果が

まことしやかに語られることも少なくありません。あわびシートが付属している製品も販売されています。

先程記しましたが、イカが捕食の際に視覚的要素に大いに頼っているのであれば、効果があるように思える

かもしれません。

しかし、筆者としては「そんなに効果があるとは思えない」と感じています。

何故でしょうか。

なぜなら、もしあわびシートで釣果が改善するなら「起こってもおかしくない事柄」が起こらないから

です。いったい何が起こらないというのでしょうか。

それは

「全身あわびの激釣れエギが市場に登場し、あわびカラーが主流になる」

という点です。ところがどっこい、あわびカラーなんて未だにマイナーな存在ですし、あわびシートが

付属した製品が飛びぬけて売れている訳でもないのです。ピンクやオレンジは相変わらず主流です。

加えて

・釣れない激安エギにあわびシートを貼っても釣れない

 (つまり動きや姿勢、沈下速度の方がはるかに重要であるということです)

・実際に釣り比べてデータを比較しても、なんら違いが出ない

ということが確認されています。

以前に、「あわびシートを貼った部分をかじられたので、あわびシートには効果があるはずだ」という

話をお聞きしたことがありましたが、これは単に、イカにかじられやすいエギの背中や腹にあわびシート

を貼っていただけではないでしょうか。試しに、エギの鉛の部分にあわびシートを貼ってみると、本当に

あわびシートをかじっているのか確認できます。この部分をかじることはまずあり得ません。



もちろん、趣味としてあわびシートを貼る分には大いに結構です。

美しくデコったり、自分だけの特別仕様にして楽しみましょう。エギングは漁ではなく趣味なのですから

いろいろ飾り付けて遊んでみるのも楽しいです。筆者は日本あわびのブルー、それも波状の模様が綺麗に

入っているものが好きです。これを貼って、100円ショップのグロス・マニキュアを上からコーティング

すると、輝きが一層強くなって美しいです。



ここまでで便利グッズの効果について論じてきました。

既に自分なりの考え、自分のエギ文化を持っている方ならともかく、「始めたばかりで自信がない」とか

「どうしたら釣れるのか解らない」そういう迷いを払拭するために敢えて記すことにしました。

そして、雑誌の編集の方々やプロの方々などのように、業界のしがらみを持たない、一介の釣り人の

立場だからこそ言える事柄をはっきり記したつもりです。

集魚スプレーやあわびシートには、あまり効果があるとは思えません。

厄介なのは、こういう製品を用いることによって、「今まで取りこぼしてきたイカをこれで釣る事が

できるのではないか」という妙な自信が出てきて、これが思考に悪影響を及ぼしてしまうことです。

結果フットワークが悪くなってしまったり、本当に注意を払うべき周囲の状況に気づかなかったり

するとしたら、逆に釣果から遠ざかってしまいます。

ですから、最初のうちは、「喰ってくるイカは居れば喰ってくる。喰ってこないということはそこには

居ない」と割り切って、ポイントを変えたり、エギや動かし方を変えたりした方が結果的に良く釣れます。


本当にイカが釣りたい、本当に巧くなりたいと思ったら、こういうチョコザイグッズに頼るよりも

本当の釣れる要素を見出し、釣れる理由を理解したほうがずっと上達が早いし、沢山釣れるようになる

のです。

何事も楽に上達する道はありません。逃げずに自分の力で這い上がってこそ、本当に巧くなるものです。





さて、次回のテーマは・・・

 「姿勢・動き・沈下速度の謎」

です。これがわかれば、激安エギを激釣エギにチューンすることができるようになります!

お楽しみに!

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